サブ課題D

核融合炉核融合炉の炉心設計

サブ課題責任者
井戸村泰宏 日本原子力研究開発機構、システム計算科学センター(高度計算機技術開発室)/量子科学技術研究開発機構、核融合エネルギー研究開発部門、那珂核融合研究所

核融合反応は、光輝いてエネルギーを放射する太陽のエネルギー源です。核融合の原料となる重水素とリチウムは海中に豊富に存在するため、地域的な偏りがなく、資源枯渇の恐れもありません。また、わずかな燃料から膨大なエネルギーを取り出すことができます。さらに核融合反応は暴走しないため比較的安全であり、発電の過程で二酸化炭素を発生させません。このため核融合炉は、長期的に利用できるクリーンなエネルギーシステムとして期待されています。
サブ課題Dではこの核融合炉をターゲットとし、実用化に向けたシミュレーション技術の研究開発を行います。次世代核融合実験炉ITERを対象とし、従来の計算機環境では難しかった核燃焼プラズマの5次元第一原理計算をポスト「京」によって実現し、炉心運転条件の最適化設計に貢献します。
参考:文部科学省 核融合について http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/iter/019.htm

ITER:国際協力によって核融合エネルギーの実現性を研究するための実験施設
ITER(英語サイト)https://www.iter.org/
参考・文部科学省 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/iter/021/005.htm

取組課題

核燃焼プラズマの5次元第一原理計算による核融合炉の炉心運転条件の最適化

チャレンジングな点

ITER炉心プラズマにおける乱流現象や磁気流体現象の5次元第一原理計算(ボルツマン方程式)はポスト「京」によってはじめて実現するきわめてチャレンジングな課題です。世界に先駆けてITERの核燃焼プラズマ解析に必要な計算手法と計算モデルの確立を目指し、ITER実験を主導する標準的なコードとしての国際的地位を確立します。

課題担当者

核燃焼プラズマ解析に向けた計算モデル拡張:
日本原子力研究開発機構/量子科学技術研究開発機構・井戸村泰宏名古屋大学大学院理学研究科・渡邉智彦
自然科学研究機構核融合科学研究所・藤堂泰
エクサスケール計算に向けたコデザイン:
自然科学研究機構核融合科学研究所・藤堂泰、日本原子力研究開発機構/量子科学技術研究開発機構・井戸村泰宏
実証研究とITER物理課題検討:自然科学研究機構核融合科学研究所・藤堂泰
開発コードの普及および人材育成:名古屋大学大学院理学研究科・渡邉智彦

核融合炉の炉心設計

~ 概要 ~

概要

~ 「京」での実績と準備研究フェーズの状況 ~

「京」での実績と準備研究フェーズの状況

~ ポスト「京」で開発するアプリ ~

ポスト「京」で開発するアプリ

エネルギーシステムにおける計算科学の必然性

核融合炉心プラズマ解析の標準的アプローチとなっている5次元第一原理モデルに基づく国際競争力の高い国産核燃焼プラズマ解析コードを開発し、ポスト「京」においてITER炉心運転条件の最適化を目指します。開発コードを国内の実験研究者に普及し、ITER実験提案等に活用することによって、ITER計画における我が国の優位性を高め、ITER計画への投資効果を最大化することが可能になると期待されます。

計算科学としての革新性

ITER炉心プラズマの5次元第一原理計算を実現するには、ポスト「京」の性能をフル活用するメニーコア最適化等の計算機技術、先進的な省通信アルゴリズムや時間積分スキーム等の応用数学、マルチスケール現象を効率的に記述する物理モデルといった計算機科学からプラズマ物理に及ぶ最先端の知見を複合した研究開発が必要不可欠です。本課題では幅広い分野の専門家の協業体制を構築して研究開発を推進します。